[2011/12/07]
伊藤祥平。まだ22歳だと言う彼は、エリック・クラプトンを愛し、そこから音楽の道を広げて行ったというある意味正統な音楽のバックボーンを持つ若者だ。彼のソウルフルなヴォーカルと独特なギターテクニックはまっすぐに観客の心を打つ。
その彼が地元、福岡を出て、上京。ライヴを重ねながらこのデビューの日を待っていた。
デビュー曲「Dream of Life」はアニメ「バクマン。」の主題歌。ただ今放映中だから、まずはそこから彼を知って欲しいと思う。
まだまだ沢山の才能や音色を持っているだろう彼に、今回「Dream of Life」で歌詞を共作しているカワムラユキさんにインタビューをお願いした。
(文:ビビ子)
カワムラ:アニメ「バクマン。」見てます、って結構周りの友達が言ってますよ。幅広く世代を超えて人気があると言うか。
伊藤:この前インストアライブを東京ドームのジャンプショップでやったんですけど、親子連れの方から小学生の方…。
カワムラ:小学生の方(笑)。
伊藤:幅広いなと、凄く感じてました。
カワムラ:ついに12月7日デビューと言うことで、おめでとうございます。
伊藤:ありがとうございます。
カワムラ:どうですか、自分にとって感じることはありますか。
伊藤:10歳からギターを始めて今まできたんですけど、今からまた新たなスタートっていうか、新たな自分の音楽の人生が始まるなというところで、もの凄く意気込みが強く、頑張っていこうと思います。
カワムラ:まさにこの3曲がその決意にあふれた曲だなと思いました。
伊藤:そうですね。
カワムラ:では3曲目から話していこうかな。
伊藤:「Music on my mind」。
カワムラ:凄いシンプルな作りの曲なんだけど、本当に“平成に生きる伊藤祥平”という人間の決意を感じるなぁと思ったんですけどね。
伊藤:はい。これは福岡に居る時に作ったんで、リアルタイムに自分が今影響を受けているブラックミュージックだったりとか、そういった音楽に感動したものを自分の作品として落とし込めた作品なので、純粋というか、ストレートで。ギターでもそうですし、自分の表現がものすごく出てる楽曲の一つだなと思います。
カワムラ:例えばブラックミュージックではどんなものに触れてきたんですか?
伊藤:まず、エリック・クラプトンが好きになって…。
カワムラ:ブラックミュージック(笑)?
伊藤:ちょっと違う…(笑)。そこから行くんですよ、そこから(笑)。
カワムラ:エリック・クラプトンから始まって…。
伊藤:始まりはそこで…で、クラプトンのルーツを探りたくなって、調べると黒人のブルースに出会って、それをずっと聴いてきて、で、そこからもっと色んな音楽があるんだっていうのを自分なりに開拓して…R&Bだったりジャズだったり、そういうブラックミュージック全般を聴くようにどんどんなってきましたね。
カワムラ:本当に詳しいもんね。私、ニーナ・シモンが好きで凄くお勧めです。女性アーティストなんだけど、「Here Comes the Sun」(ビートルズ)のカバーは祥平君ぽいな、と勝手に思ったのね。
伊藤:なんか土臭い感じが大好きで。そういう感じですか?
カワムラ:うんうん、そういう感じ。やっぱり、どうしても都会に来てるとコンクリートしか感じられないじゃない。だからどうしても呼吸が浅くなってしまうじゃないですか。
伊藤:そうですね。
カワムラ:この曲を聴いたときにすごい深呼吸をしてる感じがしたんだよね。で、祥平君は詞の節回しとか、ブレスの入れ方も独特だよね。
伊藤:はい。
カワムラ:こぶしって言うのかな。黒人音楽をベースにしながらも、福岡で生まれ育って生きてきた祥平君の独特のものを感じたんだけど。
伊藤:作り方が結構…もう福岡に居る時と東京では変わっていて、最初自分が作ってた時は歌詞とメロディを同時進行で書いて、ハマりと一緒にやってたので、例えば一番と二番だったらちょっと譜割りが違う…とかだったり、ブレスが「あれ?」っていう、普段とはちょっと違うような行き方だったりとか。福岡に居た頃は特殊な、自分のやりたい感じでやってたので、その感じが出ていますね。
カワムラ:そういうグルーヴ重視のスタンスと、これからソングライターとしてやっていかなければいけない部分の、融合って言うの? それがうまくできている曲だよね。
伊藤:そうですね。
カワムラ:やっぱり九州から東京に出てきて、九州は恋しかった?
伊藤:恋しい時もありましたね…。最近、いろいろキャンペーンに行っていて、九州も地元福岡に行ける機会が多くなったので、リフレッシュできて。やっぱり東京で一人でずっと生活していると感じられなかった部分っていうのを、地元に帰って、吸収できる機会が多くなったので、音楽的にもいいなって。
カワムラ:新しい風を入れた感じ? Back to basicして。私から見ると祥平君はとっても、九州の人!って感じがするんだよね(笑)。
伊藤:あ、そうですか!
カワムラ:そうそう。日本でも九州のアーティストって凄く活躍してらっしゃる方が多いじゃない? そういう方を見てたりした? 子供のときとか。
伊藤:中学校は藤井フミヤさんと一緒の学校で、家も近所で。久留米は結構芸能界で活躍されてる先輩方が多いので、高杢さん(チェッカーズ)は一回地元駅で見たりして。
カワムラ:そうなんだ。藤井フミヤさんもブラックミュージックやソウルミュージックを凄く感じる方だし。
伊藤:はい。
カワムラ:やっぱり食べ物の影響ですかね。明太子とか、とんこつラーメンとか。タフなものが多くない? 白もつとか。
伊藤:タフなもの、多いですね。油ギトギトの(笑)。結構重いものが好きかもしれないですね。
カワムラ:あとね、お母さんもそうだと思うけど、女性の方がとっても強いよね。
伊藤:うんうんうん。
■「My Friend」
カワムラ:では二曲目「My Friend」。これも今の時代を生きる、祥平君と同世代の友達や仲間に向かって書いてるような曲だなと思ったんですけど、この曲を書いた背景はどんなものですか?
伊藤:福岡に居た時に最初のベーシックな部分はできていて、東京に出てきて、今回、カップリング曲としてデビューシングルと一緒に入ることが決まったときに、歌詞を東京から見た地元福岡、そこに居る友達というところで書き直したんです。なので本当…自分が思ってる“故郷”ってものができて、懐かしさだったり絆だったりを信じながら、前に進んでいこうっていう思いがしましたね。
カワムラ:実際に自分が育った街の友達とは連絡を取りあってる?
伊藤:連絡は結構取り合いますね。
カワムラ:祥平君の世代になると、夢に向かって、どこに向かっていくか?っていうのが、今チャレンジの時期だよね。みんなの声ってどういう風に感じる?
伊藤:今、同世代は就活の時期なんですよ。電話してても…余りいい話を聞かないというか、ダメだった…とか色々ありますね。でも、高校の時色々「あれになりたいな」とか言いあって、今、自分はなりたいものに向かって頑張っているし…。だから自分もそういう夢に、音楽で頑張っていったら友達とも、頑張ってる姿をお互いに見せあえるんじゃないかなって。
カワムラ:本当にそうだよね。やっぱり、地元があるっていいよね。
伊藤:そうですね。それはやっぱり離れて気づいた、というのがありました。
カワムラ:そう。居る時はもう嫌で嫌でしょうがなかった?
伊藤:嫌でしょうがなかったですね。その…刺激が足りない?というか、何かもっとやりたい事があって、もっと欲してたというか…凄いいろんなエネルギーに触れたいなというのがあったんで。けど、いざ東京で地元から離れて暮らしてみると、やっぱりこう…原点の懐かしい…空間というか土地感があって逆によかったなというのもあるんです。そういうところに気付けて、で、いつでも自分が帰ってこれる場所、っていうのが改めて感じれられるという。
カワムラ:東京に来て何年目?
伊藤:もう一年半ちょっと経ちます。
カワムラ:私が最初に祥平君に会ったのは、もうそれこそ一年前くらいだよね。
伊藤:そうですね。まだ自分が上京してすぐだったと思いますよ。
カワムラ:二十歳くらいの時だよね。いろいろ詞の話をしたりとか、音楽の話をしてたけど、デビューを伊藤祥平君がして、こうやって公の場で話すようになるとはその時はまだ実感がなかったもんね。
伊藤:はい。
カワムラ:だから思い描いたことがこうなったのが本当にうれしいね。
■「Dream of Life」
カワムラ:こちらがデビューシングルで、NHKのアニメ「バクマン。」第二シリーズの主題歌なんですけれども。どうですか?反響は。
伊藤:第一回目の放送の時は地元の友達が連絡くれたりが多くて。それからブログのコメントだったりでちょっとずつ反応と言うか、曲に対して生の声を聞く機会が多くなってきたので、本当嬉しいことですね。
カワムラ:地元の友達も応援してくれるよね。NHKだし、子供から大人まで見れる時間帯だしね。この曲のテーマは何でしょう。
伊藤:これはもう、夢。夢という言葉を何回も言っているので、やっぱり情熱を持って夢に向かって突き進んでる途中、って感じです。
カワムラ:苦労と…。
伊藤:そうですね。挑戦。
カワムラ:この曲の歌はご一緒させて貰ったんですけど、祥平君と電話で何度も話しながら作りました。
伊藤:電話越しで自分も歌ってたりしたんですけど…(笑)。
カワムラ:そうそう、「はい、もう一回歌ってみよう」って(笑)。
伊藤:「は、はい」「今度こっちでやってみよう」とか言いながら(笑)。
カワムラ:今考えると贅沢な時間だったなと思います。
伊藤:自分も初めて対面する作詞家さんじゃなくて、自分の音楽や性格を知っているユキさんに今回協力して頂いたんで、ものすごく作りやすいというか、作業に取り組みやすくて。本当、電話でも連絡取り合えたってのがいい作品に繋がったと思います。結構朝までやったりした日もありましたもんね。5時とか。
カワムラ:でも本当に極めたかったからね。デビュー曲だから最高のものに仕上げたい、ってなったよね。後悔無いようにタイトルも最後の最後まで色々考えて…。
伊藤:そうですね。
カワムラ:私も今でも本当に憶えてる。これを一緒に作業してた時のこととか。ちょうど気仙沼の チャリティ花火を見に行く前の日だったので、私もそれこそ夢に向かって。で、私も作業していて、自分も夢に向かってた時期の事を思い出したし、10代…20代前半の頃をね。今もまだ夢に向かってると思うんだけど、それでもその10代20代の熱量ってとっても強いし、一生の内一番輝いてる時期だと思うのよね。30代40代50代もそれぞれ輝いているけど、身体も若いし、心もまだ経験が少なくて色んなものが新鮮に感じるし、そういう時に夢に向かう思いって、もうそれしか見てないから。
伊藤:そうですね。
カワムラ:これから祥平君は、まず手近なところから…どんな夢を考えていきたいですか?
伊藤:そうですね…(深く考え中)。
カワムラ:じゃあ私から言おうか(笑)。私ね、賞が欲しいんですよ。だから何か賞状を貰うのが夢です。
伊藤:それ、手近なことですか?
カワムラ:そうです。手近で大きい夢。世の中に認められたいのよね。自分は結構家出とかしてたから、大人に認められたいってのが未だにあって…まぁ、いい歳だけど(笑)、だから賞を貰ったら大人に認められたって感じがするんだよね。
伊藤:自分も認められたい、っていうのはありますね。
カワムラ:オリコン一位とか?
伊藤:何か自分のスタイルでそういう事ができたら…ギターの奏法だったりとか。それで認知して貰えて、そこから色んな可能性にチャレンジしていけたらなっていうのはありますね。
カワムラ:インターネットで読んだんだけど、祥平君の奏法はとっても変わってるんだってね。なんだこの奏法は…みたいな。
伊藤:確かに…自分で言うのも何なんですけど、自分の弾き方で弾いている人をあんまり見たことがないですね。
カワムラ:うん。新しい世代の、平成のソウルミュージックを響かせて貰いたなと思います。
伊藤:はい。かしこまりました(笑)。
カワムラ:で、最高の夢は?
伊藤:そうですね。日本武道館でライヴがしたいです。
カワムラ:武道館。東京ドームじゃなくて?
伊藤:えぇ…! 東京ドーム…。(考えこむ)
全員:(笑)。
伊藤:武道館で…ですかね。と、あとやっぱ地元福岡ドームで(笑)。
カワムラ:いいねぇ。あと何かこんな感じの…例えば曲を作ってみたいとかある? 主題歌とかじゃなくてもいいけど、なんかこういうことの為に曲作りたい、とか。
伊藤:コテコテなのがやりたいです(笑)。ファンキーだったり…。
カワムラ:ブーチー・コリンズみたいな?
伊藤:そういうのもやりたいですし。
カワムラ:祥平君、やりたい事をこれから箇条書きしとくといいよ。ドリームリスト! 「伊藤祥平のドリームリスト」っていうのを一から十まで書いてグッズで作ったら面白いかもしれない(笑)。
伊藤:それで全部ファンが連れて行ってくれるという。
カワムラ:夢叶える時って、やっぱり地図を書かないとダメって。じゃあ私も、祥平君がその福岡でライブをする時に見に行こうと思います。
かしこみ:ありがとうございました。ちなみに、ギターのスタイルが独特だというふうにカワムラさん仰ってたんですけど、その独自のグルーヴはどんなふうに身に付いたんですか?
伊藤:独学で誰からも教わったこととかなかったんで、勝手に弾いてたらそういう奏法になって、あまりされる方が居ないっていうものらしく…弾きますか?(笑)。
普通こういうストローク(ジャカジャカ…という音色)とかなんですけど、自分の場合はもっと右手が複雑になって、♪♪♪〜(軽くギターを弾いてくださいました!)とか。
カワムラ:リズミカル。しかもちょっと変拍子でドラムンベースみたいなんだよね。
かしこみ:クラシック・ギターにも近い弾き方なんですね。
伊藤:あ、それもあるかもしんないですね。
カワムラ:クラシックとロックとファンクとパンクとドラムンベースがいっぺんにやってきたみたいな感じ(笑)。
かしこみ:一つで全て成り立っちゃう感じなんですね。
伊藤:はい。よくスパニッシュっぽいアプローチだね、とか言われます。
カワムラ:スパニッシュっぽい、わかる。ビセンテ・アミーゴっていうね、ギタリストが…
(お二人のそれは楽しそうな音楽談義がまだまだ続くのでした)