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歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」

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黒百合城の兄弟

アーティスト:山本 正之  アルバム:あああ がらがら どんどんどん  作詞:山本正之  作曲:山本正之  発売年:1992  品番:HBCL8801

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じいちゃんの家にいくまでに 坂道があり 坂道をおりたところに 竹やぶがあった 昼でもおそくがくて 一人じゃ通れやへん でも まん中をつっきれば とってもべんり その日は山崎村のお祭りで 近所の人が集まってはおおごちそう 早く行かねば急がねば ボクの分のおスシがなくなるぞ 度胸を決めてうす暗い 竹やぶに一歩足を踏み入れた 「カァー、カァー、 バサバサ、ホーホーホー」 こんな時に限って いやな話し想い出す じいちゃんがいつか こんなこと云っていた 「正之、ええか、あそこの竹ヤブに 入っちゃあかんぞえ あそこは昔から 不思議な穴があってな そこへ迷いこむとえらいめに合うで わしも小さい頃その穴に入りこんで ほやー、おそがかったぞえ」 そんな話がぐるぐるぐる頭を回り おスシはあきらめて遠まわりしよう そう決めてきびすを返した瞬間 ボクの目の前に穴があった 体が固まって動けない これが世にいう金しばり <ぴきっ> 意志とは別に 体だけ誘い込まれるように 穴の中へと入っていった 「まっくらだ、 どーくつみたいだなあ、イテッ 右足が、右足が、左足をふんだ」 そのうちだんだんと目が慣れてきて まわりのものが少しずつ見えだした 「ギョッこれはガイコツだ ヒエッこれは刀だ! ウワッこれはてっぽうだ」 そんなこんなをみつけているうちに 怖さを忘れ ボクはずんずん奥の方へ 進んでいった 急に何かにぶつかった きっとここが行き止まり よくみると高く積まれた石垣だった 五段十段百段の石垣の上に 立派なお城が立っていた はるかてっぺんに天守閣 黒百合城とかいてある ボクは石のすき間に手をかけて 一段一段慎重に登っていった もうすぐ天守閣というときに 一じんの突風がおそいかかってきた 「ヒュー、負けるものか! ビュー、負けるものか!」 とうとうボクは おっこちた 黒百合城が風車のように 回って意識が無くなった ドーンドーン「若殿のおなりー」 「おい、しっかりせよ おい、目をさませや、おい、おい」 (うーん) 「おお、気がついたか 陸太郎」 (はあ?) 「ほんによかった わが弟、陸太郎」 (はあー?) 「だから、わが弟、陸太郎よ」 (はあー、ボク、ボク、 バカンなっちゃったのかなー) 目がさめた時そこはお城の中だった 大勢の侍と腰元が座ってた ふかふかぶとんに寝かされた ボクのそばで カッコイイ若武者が 心配そうにのぞいてた 歳の頃なら十四、五、六 きりりとした横顔で 低く静かに話しかけてきた 「だいじょうぶか陸太郎、 もう三日も眠っていたのだぞ」 (ふあ?) 「そうか、覚えておらぬか おぬしは、病にふすおじ上に おいしいオスシを食べさそうと 勇んで城を飛び出し 足をふみはずして 石垣からまっさかさまに谷底へ… そして…三日じゃ」 (ほへ?) 「弟よ、想い出せ、 余はそちの兄、空之介じゃ さ、父上も母上も心配しておられる 笑顔を見せよ」 いつもネクタイしめて 会社に行く父さんが なぜかあそこで 本物のちょんまげつけている いつもせまい台所で イワシを焼いてる母さんが なぜかキンランドンスで ほほえんでいる 「陸太郎よかったのー…」 「陸太郎様… みめうるわしゅうござりまする」 そこまでいわれたらおのずから私も その気になってきた いやなりきってしまった 「兄上、 まろは元気でござりまする」 「まろ、まろ? 父上、わが弟は、 今少し頭の具合が…」 黒百合城の人々が 穏やかな顔で笑い合う その日から私と兄上は いつもいっしょに 食べて遊んで学んですくすく育つ 兄上は文武にすぐれ槍も弓も孔子も きびしくやわらかく 手ほどきしてくれた 春の日野原をかけて ヘビに噛まれた時 兄上は私の足から ドクを吸ってくれた 雪の日つづみに合わせて舞いを舞う 兄上の姿はきれいだった 夏の日川でみずをあびて しずくが落ちる 兄上の体はたくましかった 馬を駆り鷹を放ちやぶさめにすもう 兄と弟 兄弟の日々 黒百合城に日は移り 時の流れがすぎてゆく 私も二十才をすぎて妻をめとり


投稿者: machine
プチリリ再生回数:26





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