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現代謡曲全集 別巻19_野宮

アーティスト:梅若六郎 

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ワキ 詞「これは諸国一見の僧にて候。 我此ほどは都に候ひて。 洛陽の名所旧跡残なく一見仕りて 候。また秋も末になり候へば。 嵯峨野の・方{かた}ゆかしく候ふ 程に。立ちこえ一見せばやと思ひ候 。 これなる森を人に尋ねて候へば。 野の宮の旧跡とかや申し候ふほどに 。 逆縁ながら一見せばやと思ひ候。 カカル上 われ此森に来て見れば。・黒木{ くろぎ}の鳥居 詞「小柴垣。昔にかはらぬ有様な り。 カカル上 こはそも何といひたる事やらん。 よし/\かゝる時節に参りあひて。 拝み申すぞありがたき。 下 伊勢の神垣隔なく。法{のり}の教 の道すぐに。 こゝに尋ねて宮所心も澄める夕か な心も澄める夕かな。 シテ  次第上 花に馴れ来し野の宮の。/\。秋 より後は如何ならん。 サシ上 をりしもあれ物のさみしき秋暮れ て。なほしをりゆく袖の露。 身を砕くなる夕まぐれ。心の色は おのづから。千草{ちぐさ}の花にう つろひて。 衰ふる身のならひかな。 下歌 人こそ知らね今日ごとに昔の跡に 立ち帰り。 (小謡 野の宮の ヨリ 恨なれ マデ ) 上歌 野の宮の。森の木枯{こがらし}秋 ふけて。/\。身にしむ色の消えか へり。 思へば・古{いにしえ}を何と忍ぶ の草衣。来てしもあらぬ仮の世に。 行き帰るこそ恨なれゆきかへるこ そ恨なれ。 ワキ カカル上 われ此森の陰に居て 詞 古を思ひ。心を澄ますをりふし。 いとなまめける女性一人忽然と来り 給ふは。 いかなる人にてましますぞ。 シテ 詞「いかなる者ぞと問はせ給ふ。 そなたをこそ問ひ参らすべけれ。 是は古・斎宮{さいぐう}に立たせ 給ひし人の。仮に移ります野の宮な り。 然れども其後は此事絶えぬれども 。長月七日の今日は又。昔を思ふ年 々に。 下 人こそ知らね宮所を清め。御神事 をなす所に。行方も知らぬ御事なる が。 来り給ふははゞかりあり。とく/ \帰り給へとよ。 ワキ 詞「いや/\これは苦しからぬ。 身の行末も定なき。世を捨人の数な るべし。 さて/\こゝは・旧{ふ}りにし跡 を今日毎に。昔を思ひ給ふ。 カカル上 いはれはいかなる事やらん。 (独吟 光源氏この処に ヨリ  此宮所 マデ ) シテ 詞「光源氏この処に詣で給ひしは 。長月七日の日けふに当れり。 其時いさゝか持ち給ひし榊の枝を 。忌垣{いがき}の内にさし置き給へ ば。 御息所{みやすどころ}とりあへず 。 下 神垣はしるしの杉もなきものを。 詞「いかにまがへて折れる榊ぞと 。よみ給ひしも今日ぞかし。 ワキ    上 げに面白き言の葉の。今持ち給ふ 榊の枝も。昔にかは<P 144b>らぬ色よなう。 シテ 詞「昔にかはらぬ色ぞとは。榊の みこそ常磐の陰の。 ワキ    上 森の下道{したみち}秋暮れて。 シテ    上 紅葉{もみぢ}かつ散り。 ワキ    上 浅茅{あさぢ}が原も。 (小謡 うら枯れの ヨリ 此宮所 マデ ) 地     上 うら枯れの草葉に荒るる野の宮の /\。跡なつかしきこゝにしも。 其長月の七日{なぬか}の日も今日 にめぐり来にけり。 ものはかなしや小柴垣いとかりそ めの御住居今も火焼{ひたき}屋のか すかなる。 光は我が思{おもい}内にある色や 外に見えつらん。 あらさび{ミ}し宮所あらさびし此 宮所。 ワキ 詞「なほ/\御息所のいはれ懇に 御物語り候へ。 地   クリ上 そも/\此御息所と申すは。桐壺 の帝の御弟{おんおとゝ}。 前坊{ぜんぼう}と申し奉りしが。 時めく花の色香まで妹背の心浅から ざりしに。 (独吟 会者定離 ヨリ 恨なりけれ マデ ) (囃子 会者定離 ヨリ 火宅の門 マデ ) シテ  サシ上 会者定離{えしやぢやうり}のなら ひもとよりも。


投稿者: misaoozono
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