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歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」

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桜町ハンバーグライス

アーティスト:山本 正之  アルバム:SOLO弾きの夜-3nd night-  作詞:山本正之  作曲:山本正之  品番:BXCA-1031

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私には実の兄とも 慕ってやまぬ人がいます それはみなさまご存じ アニキこと 水木一郎 しかしもう一人 私に やさしい兄がいることを 本日 ここでお話しいたします 舞台はいきなり 昭和三十四年の安城市本通り かくれんぼをする 菜の花畑の 向こう 小さな玄関の横に 自動車の部品を置いて 修理や手入れをしている 工場があった 工場の名前は 加藤モータース この家に 三人の兄弟姉妹がいて 私の一つ年上のヒロコちゃん その姉のケイコちゃん 一番上の兄ちゃんが ユウくん 加藤と山本は 元々親同士も仲良しで 住んでいる家も 一軒置いて となり 町の催し 映画の大会には共に出かけて 子供たちは ほんとの兄弟姉妹のように 育ち合った 当時は 自動車産業界が うなぎ上りに上って ミゼット トヨペット ダットサンが街を行き交う 加藤モーターも うなぎ上りに儲かって ついに桜町に 新工場を建てた 私と姉は 一カ月に1回くらい 桜町の加藤モーターに 泊めてもらった ゼネラルのテレビや ヤマハのピアノや そして 私を虜にした ビクターの ステレオ みなみはるお みはしみちや むらたひでおのレコード 私にとっては 才能の宝庫だった そしてなお楽しみなのが 晩ご飯 おばさんと娘たちが作る 豪華なお料理 その頃の普通の家の おかずはだいたい 焼魚と漬物と豆腐のおみおつけ しかしその夜食卓に登場した物に 私も姉も ふるえる程に驚愕した やや黒い膨らみのある 楕円形の塊 そのまわりに とろとろーっと 濃いソース かいだこともない いいにおい お皿の脇には ナイフとフォークが置いてある ヒロコちゃんが 「これねえ ハンバーグだよ」 ケイコちゃんが 「これねえ みんなで捏ねただよ」 ユウくんが こうやるだよと切って見せてくれる ジュジュジュジュジュジュ 肉の汁が出てきた 私 いや ボクも やってみる ジュジュジュジュジュジュ うまくやれた フォークに刺して口の中に アツ!だけどオイシイ! 宝のような お料理を ひと口ずつ 味わった 日曜日 ユウくんの部屋の机の上で カッコイイ数字の書き方を 教えてもらった 曲線をナイフで上手に切ることも 習った 百人一首で坊主をめくって 笑った 岐阜の山道をくねり登って 柿野温泉に行ったり 車中で歌合戦をして 犬山城に行ったり ユウくんは 時々工場を手伝い ボクを乗せて ジャッキを挙げてくれたり そうして ゆっくりゆっくりと 時は流れ 兄弟姉妹は だんだんと 大人になって やがて 年賀状での 挨拶になり そして いつともなく 遠去かっていった 舞台は変わって 平成15年5月10日 処はやはり安城の 歴史博物館ギャラリー 子供の頃の遊びをテーマにした 講演会に出て お客様と握手をして回っている時 前から8列目のあたりに なぜか懐かし~い顔がある 私は客席を分け入って 真っ正面からその人を見凝らした 「ユウくんかあ! ユウくんじゃん」 ユウくんはただニコニコしている 安城広報で このイベントを知って ボクに会いに来てくれた その頃は私の母が亡くなって一年 まだ強い喪失感が押し寄せていた そんな時に 懐かしいボクの兄ちゃん 電話番号を確認して その日はそれで別れた それから後安城に戻る度に ああユウくんに電話しよう ユウくんに会おう と思いながら 次のアルバムを持っていこう ああ電話しそびれた 次の前線ビデオを持っていこう ああまた電話しそびれた そんなことを 繰り返しているうちに あっという間に 十五年が過ぎてしまった もう電話番号も 変わっちゃったかも と思いつつも いや今度こそ と決意して 安城に帰る 長い長い今年の夏のまっただ中 七夕祭りに集まる 不良たちの悪行から 家を守るため安城に来て 掃除をし 洗濯をし さあ晩ご飯だと自転車をけった 安城市民のソウルフード 北京飯 駅の踏切を超えた所の 昭和町店に行こう ところがその日は 地獄の七夕祭り たこ焼きやら水風船やら 総勢十万人の人出 自販中は引いて歩くのも 禁止 しょうがない 遠回りして 市役所の向こうの 明治用水跡道の 階切を渡ろう そこは 桜町 加藤モーターは


投稿者: ソロバン
プチリリ再生回数:0





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