ログイン  | 新規登録
歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」

TOP > 歌詞 > 現代謡曲全集 別巻4_弱法師
現代謡曲全集 別巻4_弱法師

アーティスト:藤波順三郎 

  • お気に入り登録




ワキ詞「かやうに候ふ者は。河内の 国高安の里に。左衛門の尉通俊と申 す者にて候。さても某子を一人持ち て候ふを。さる人の讒言により暮に 追ひ失ひて候。余りに不便に候ふ程 に。二世安楽のため天王寺にて。一 七日施行を引き候。今日も施行を引 かばやと存じ候。狂言シカ%\。 シテ一セイ上 出入の。月を見ざれ ば明暮の。夜の境をえぞ知らぬ。難 波の海の底ひなく。深きおもひを。 人や知る。 サシ上 それ鴛鴦の衾の下には。立 ち去る思を悲み。比目の枕の上には 波を隔つる愁あり。いはんや心あり 顔なる人間有為の身となりて。憂き 年月の流れては。妹背の山の中に落 つる。吉野の川のよしや世と思ひも はてぬ心かな。あさましや前世に誰 をか厭ひけん。今又人の讒言によ り。不孝の罪に沈む故。思の涙かき 曇り。盲目とさへなり果てゝ。生を もかへぬ此世より。中有の道に迷ふ なり。 下 本よりも心の闇は有りぬべし。 上 伝へ聞く。彼一行の果羅の旅。 /\。闇穴道の巷にも。九曜の曼陀 羅の光明。赫奕として行末を照らし 給ひけるとかや。今も末世と言ひな がら。さすが名に負ふ此寺の。仏法 最初の天王寺の石の鳥居こゝなれ や。立ち寄りてまいらんいざ立ち寄 りて参らん。 ワキカヽル上 頃はきさらぎ時正の 日。誠に時も長閑なる。日を得てあ まねき貴賎の場に。施行をなして勧 めけり。 シテ詞「げにありがたき御利益。法 界無辺の御慈悲ぞと。踵をついで群 集する。 ワキカカル上 これに出でたる乞丐 人は。いかさま例の弱法師よな。 シテ詞「うたてやな又われらに名を 付けて。皆弱法師と仰あるぞや。 カカル上 げにも此身は盲目の。足 弱車の片輪ながら。よろめきありけ ば弱法師と。名づけ給ふはことわり なり。 ワキ詞「げに言ひ捨つる言の葉まで も。情ありげに聞ゆるぞや。まづ/ \施行を受け給へ。 シテ詞「受け参らせ候はん。や。花 の香の聞え候。いかさま木の花散り 方になり候ふな。 ワキ詞「おうこれなる籬の梅の花 が。弱法師が袖に散りかゝるぞと よ。 シテ詞「憂たてやな難波津の春なら ば。唯木の花とこそ仰あるべきに。 カカル上 今は春辺もなかばぞか し。梅花を折つて頭に挿しはさまざ れども。二月の雪は衣に落つ。あら 面白の花の匂やな。 ワキ上 げにこの花を袖に受くれ ば。花もさながら施行ぞよ。 シテ詞「なか/\の言。草木国土。 悉皆御法も施行なれば。 ワキカカル上 皆成仏の大慈悲に。 シテ上 漏れじと施行に連なりて。 ワキ上 手を合せ。 シテ上 袖を広げて。 地上 花をさへ。受くる施行のいろ いろに。/\。匂ひ来にけり梅の花 の。春なれや。何はの事か法なら ぬ。遊び戯れ舞ひ謡ふ。誓ひの網に は漏るまじき。難波の海ぞ頼もし き。げにや盲亀のわれらまで。見る 心地する梅が枝の。花の春の長閑け さは。難波の法によも漏れじ/\。 クリ上 それ仏日西天の雲に隠れ。 慈尊の出世遥に。三会の暁未だな り。 シテサシ上 然るに此中間に於て。 なにと心を延ばめまし。 地下 こゝによつて上宮太子。国家 を改め万民を教へ。仏法流布の世と なして。普く恵を弘め給ふ。 シテ下 然れば当寺を御建立あつ て。 地下 始めて僧尼の姿を顕し。四天 王寺と名づけ給ふ。 クセ下 金堂の御本尊は。如意輪の 仏像。救世観音とも申すとか。太子


投稿者: misaoozono
プチリリ再生回数:23





日本語English

利用規約プライバシーポリシー許諾情報運営会社お問い合わせヘルプ
© 2024 SyncPower Corporation


Page
Top