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歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」

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サスクハナ号の曳航

アーティスト:山本 正之  アルバム:サスクハナ号の曳航  作詞:山本正之  作曲:山本正之  発売年:1994  品番:PICA-1041

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六年生の夏休みの 最後の一週間 幡豆の海辺の おばさんの 家に泊まった 算数の宿題したり図画を描いたり 晩ごはんのおかずは いつも イワシのひもの 小さな庭の垣根に ハマナスの花が咲いて 赤い屋根の小屋には 愛犬のピスがいる その日はいつものように ピスのくさりをほどき ボクが名付けたパラベルの入江を散歩した ピスは喜びかけまわり 浜辺に足跡がつく 大きな岩にはい上がり 波をかぶってブルンブルンす る カニの親子をみつけては ワンと吠えてじゃれる ときどきボクのそばに来て またどこかへ走ってく ボクは砂浜の上の松林に寝ころんで ハモニカを吹きながら うとうとしはじめた 夏の午後の海風が おでこを撫でて いつのまにかぐっすりと お昼寝に入りこんだ ざあざあしゅるる波の音 100も200もの波の音 どのくらい時間がたっただろうか 誰かがボクのホッペタを トントンたたく 目を開ければそこに ピスがいて 前足で何度もホッペタを トントンしている 「う~ん、よくねたぁ~。あー、ピスかぁ、」 「ワン!」 「あー、おまえどこ走って来たんだ、 泥だらけじゃんか」 「ワン、ワンワン!」 「ああん? どーしたんだ?」 「ワン! ワワワンワンワン!」 ピスのようすがおかしい いつもとちがう あわててる ボクは体を起こして あっと おどろいた 「なんだあれは! 入江の向こうに でっかい船だ三隻も泊まっとる!」 社会科の本で見たことがある 両脇に水車がついた 黒い帆船 そのまわりにはいくつものはしけが通い 向こうの海岸には人がいっぱい山のよう 松林の先には陣幕が引かれて その中と外を人が いったりきたりしている それを見てボクはまた またまたおどろいた 誰もが刀をさして チョンマゲつけている 「おい、ピスぅ、こりゃ一体、どーなっとるんだぁ… …」 「……ワン……」 オタオタしてると二人の 侍がボクをみつけ 何やら耳うちしながら 近づいてきた 「あー、これ、そこの子供、」 「は?」 「何やら変わった身なりをしておるのー、」 「はあ…」 「上役どの、むやみに近づいてはなりませぬ、こやつ おそらく あの黒船から降りて来た者に ちがいありま せぬ」 「しかし、まだ童ではないか」 「上役どの、メリケン人は、童といえども、流暢な エンゲレッシュを しゃべると聞きました。つまり、口先だけのジンシュ でござりまする、 ヘタに会話をすると、バテレンの妖術にはまりまする ぞ」 「あー、そうか、きをつけねばのー あー、これ、 子供、そこに控えおるのは、……犬か?」 「はあ、ピス」 「ピス?! ピスとは、ピストルのことかも知れませ ぬ」 「んー、よいよい。これは、秋田犬か? それとも柴犬 かのぉ、」 「上役どのー、メリケンでござりまするよ」 二人の役人は ボクとピスをしばって 陣幕の中のお奉行の前につき出した 「ほぉー、これがメリケンの子供か、顔は日本人と変 わらんのー、 なかなか、かわいいではないか」 「お奉行、こやつを人質にして、あの黒船から 金銀財宝をうばい取りましょう」 「いや、かえしてやれ」 「え゛ーっ!!」 「子供であるからには親がいるはずじゃ、 敵といえども 親子を引き離してはならん…」 「でも、お奉行ー!」 「返してやりなさい」 「ははーっ。」 そしてボクたちは はしけに乗せられて 一番大きな 黒船につれていかれた 「Hey boy. You Japanese. Black hair Black eyes--- woom Magical. Oh He's a Japanese dog I like a dog Hi doggy. Dig here Bow Wow Wow~~ I'm Flower Jijy~~」 「はあ?」 「ワン?」 それからボクとピスは甲板を渡って 船長の室に通された 「Boy, and dog. He's the Captain of the ship. You call him Master Perry.」 丸い窓のそばの 机に向かい その人は静かに 航海日誌をつけていた 「ガルルルルルー ワンワンワン!」 「こら、ピス、静かにしろ」 やがてキャプテンは ペンをコトリと置いて 逆光ひかる中 ボクの方を向いた するどく高い鼻 キリリとくちびる ガンコそうなアゴひげ なぜかやさしいひとみ それはいつかどこかで 会ったことがあるような そしていつもどこでも 会えるような面ざし 「クゥーン、クゥーン、ワンワンワン」 ピスがシッポをふって 彼の膝で背中をする 「ぼうや、よく来てくれたね」 「あ、ことば、日本語...」 「うん、この、ピスが、通訳してくれてるんだ、心と 心をね……」 「ピス…」 「……ワン…。」 夕闇の中船長は ピスのおなかを撫でながら しみわたるような声で話しはじめた 「私は、長いあいだ、ここで君を待っていたんだ。」 「ボクを待っていた?」 「ああ、この船はね、サスクハナ号といって、 海を越えた、遠い遠いところからやって来たんだ。」 「はあ……」 「そして、この船はね、信じられないだろうが、この 船は、 君が造ったんだ」 「ボクがつくったぁー?! おいピス! こっちへ来い! この人、あぶない人だぞ」 「ぼうや、大丈夫だよ、今の君にはむつかしいが、 いつか わかる時が来る」 「ボク……バカんなっちゃったのかなァー」 「さあ、君が来てくれたから、この船は出発する 今日から君も、この船のクルーだ Let's Go!!」 サスクハナ サスクハナ 風を帆にうけ船が行く サスクハナ サスクハナ ビリジアンの海を その夜 船長は ボクを誘って 船のすみずみまで案内してくれた たくましく気のいい 乗組員たちも みんなほほえんで 歓迎してくれた 翌朝 起きても それは夢でなく 帆がはためく音がしたり 舵とりの声がしたり 揺れる食堂で チーズと木の実を食べて


投稿者: サイネルちゃん
プチリリ再生回数:5





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