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歌詞投稿コミュニティ「プチリリ」

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黒百合城の兄弟III アニソン国の勇者の巻

アーティスト:山本 正之  アルバム:ザ☆長編 弐  作曲:山本正之  発売年:2020 

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「テレビまんがって いいなあ たのしいなあ 自由だ なあ 大きくなったら まんがの主題歌 歌いたいなあ」 昭和三十年代の平和な日本 所得倍増のスローガン 神武景気 一家に一台普及した ブラウン管テレビ シロクロの画面に映る ヒーロー ヒロイン 四畳半の茶の間の角に 鎮座まします 我が山本家のそれは サンヨーの中古品 名古屋のテレビ塔から 電波が放たれて うちの二階の大屋根の アンテナに届く 金語楼のおトラさん コンちゃんのとんま天狗 隠密剣士 事件記者 歌のアルバム そうしていよいよ始まった アトムにエイトマン 狼少年ケン スーパージェッター その頃はアニメと言わず テレビまんがと称して 主題歌にスポンサーの名が入ることも度々 お薬会社が提供の風のフジ丸 ビスケットとキャラメルの 鉄人28号 その中でも私が 夢中で見たものは 創業したてのアニメプロ 竜の子プロダクション 宇宙エース マッハGoGo いっしょに歌ったよ おらぁ グズラだど いっしょに笑ったよ 「大きくなったら まんがの主題歌 歌いたいなあ」 昭和三十六年 第二室戸台風が 大屋根のアンテナを 倒して行った 父さんは丁度木曽川の 現場に出張で テレビを見るにはアンテナを 立て直さなければ 「お母さん、アンテナどうしょう お父さんが帰ってくるまで待っとるう? それか隣のおじさんにやってもらうかあ」 「あんた がややあいいじゃん やれるだらあ お母さん今夜 てなもんや三度笠見たいもんねえ」 子供の脚にはまだまだ 危険な大屋根 それでもボクは母のため その危険を顧みず 二階の窓の手摺から 破風板をつかみ 庇に脚をかけて大屋根に 登り出る 三河の里の 安城の 景色が遠く 広がった 「うわあ一大屋根に登ると こんだけ見えるのかあ あれは 丸常さんの味噌樽だ あれは 安城駅だ」 ボクは倒れたアンテナを 元に戻して 瓦に繋げた針金を ペンチで締め直し てっぺんの棟にまたがり 町をひと望みして そろそろ下に降りようかと 身を這わせた時だった いつのまにか黒雲が 立ち込めた空を 一閃の稲妻が 切り光る 二秒も経たずに大粒の 雨がそそり降り 瓦の波の 水嵩となる 滑る足元を庇えば 手元がずれて 手元を庇えば全身が 釣合を無くす 「うわあ あぶない! 落ちるうー」 一度は片手を雨樋に かけてもすぐに外れて 二階の大屋根から僕は 投げ滑り落とされる ぐるぐるぐるぐるまわる 大雨の空 そのまま意識を 失った 「うーん ここはどこだ? まっくらだ なんかひんやり する」 じいちゃんの家に行くまでに 坂道があり 坂道をおりたところに 竹やぶがあった 竹やぶの中を進めば ほら穴があり ほら穴の中に入れば まっくらだった 「そうか! あのほら穴なんだな ということは この先に 石垣があるはずだ よし 右足が 左足を踏まないように 気をつけながら行こう と思ったら 左足が 右足を踏んでしまった」 まぬけな失敗しながら ボクは冷たい壁を たどりたどりほら穴を ひと足ずつ進む やがて光りが入り込み 次第に明るみ あの時の石垣が 目の前に迫る はるかてっぺんに天守閣 黒百合城とかいてある ボクは石垣のすき間に 手をかけて 一段一段慎重に 登っていった もうそこが天守閣というときに 一陣の突風が おそいかかってきた 「ピュー 負けるものか! ビュー 負けるものか! 一日 に二度も 高いところから落ちるのはイヤだあ一」 必死に石垣に しがみついていたけれど それでも突風は 容赦なく襲いかかる ついにボクの手は 石垣から離されて スローモーションで 空中に浮き泳ぐ 「ああー おちるー」その時! 誰かがボクの手を ガシっとつかむ 「りく! 陸太郎!」「あっ 兄上!」 大岩を片腕で 巻き抱えて残り手で 陸太郎を救い持つ 空之介 「陸太郎 そこに足を掛けろ そうだ そして兄の肩を 持て」 黒百合城の 城門に 弟 陸太郎 罷りけり 兄上はボクの腰膝の 砂土を払い 二の腕を強くつかみ留め 瞳を光らせる 歩を揃え天主を仰ぎ 兄と弟 黒百合城へ勇み入る 矢羽根絣の女中たちや 裃の家来たちや 新木の香り 馬を馴らす蹄音 兄上は十畳ほどの 小部屋にボクを誘い 書棚から抜いた色絵図を 畳に拡げる 小島や川や湖や 大陸や丘や 見知らぬ動物や樹木や 草花や 西の端まで目を送れば そこに記された 六つの文字を ボクに指す 「陸太郎 この文字はアルハベーターと申して 遥か西方遠路の国で使われている文字だ 読めるか」 「はい兄上 近頃は お菓子や機械の名前にも使われています」 「おお そうか では読んでみよ」 「A N I S O N ・・・ あ に そ ん ?」 「そうだ アニソン国だ 陸太郎 ここへいってみよ」 「ええ?この絵図で見るかぎりでは ずいぶん険しい道程のような・・・・・・」 「心配するな 案内の 犬を付けようぞ これ! ピスを連れてまいれ」 「えっ?ぴぴぴすですか?」


投稿者: ソロバン
プチリリ再生回数:0





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